優しいパリのタクシー運転手
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災いは、私の旅スタイルから始まった
初めてパリに行った時のことです。
旅の最終日が金曜日。
午後6時頃の便でパリを発ち、帰国する予定でした。
2時くらいに、ホテルに戻れば、間に合うと算段。
ベルサイユ宮殿に行きました。
電車に乗れば、そう遠くない場所。
しかし、治安さえよければ、できるだけ歩きたい。
知らない町を、歩いて、その街を、そこに住む人たちの生活を、
見たり感じたりするのが、大好き。
でも、この時は、絶対に遅れることのできない予定が、後に控えている。
堅実に、電車で行くべきだった、のに~
随分歩いてたどり着いた先は、ベルサイユという名の駅ではあったのですが、
宮殿とは方向違い。
焦りに焦り、道を探すだけで、時間が過ぎていく。
背に腹はかえられぬ~。
駅を見つけ、電車に飛び乗りました。
何とか、宮殿に、たどり着いたものの、宮殿を見て回る十分な時間は残っていません。
急ぎ足で、主要なところだけを見て回ったころ、時間切れ。
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第二の災い
流石に、ホテルに戻らないとと、焦りだした。
駅に向かう時間すら、もうない。
そして、タクシーに飛び乗った。
ところが、ところが、このタクシーが、他の車と接触事故。
運転手は、烈火のごとく怒っております。
ちょっとした接触事故。
”早く、車出してよ~”と、焦りに焦っていると、
「お金いいいから」
差し迫った事情を知らないこの運転手。
”お金の問題ちゃうねん”と、叫びたい気持ちを抑え、
下車して気付いた、”この道、殆ど車が通らない。”
呆然としてると、しばらくして、バスがやってきました。
神に捨てられ、別の神に拾われ、何とか、ホテルにたどり着いた。
しかし、時間的に余裕のない行動の中に、予定外のトラブル。
もう、帰国便の出発時間は、迫ってる、間に合わないかもしれない。
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パリの親切な人たち
泊まっていた、プチホテルのフロントに泣きついた。
時折、パリの人には、残念な気持ちにさせられる中、
このフロントは、これまでも、よく気を配ってくれた人。
「飛行機、間に合わへんかもしれん。」
というとですね、にっこり笑って、
「わかった、空港に電話しといてあげる。タクシー呼ぶ?」
旅費を安く上げるために選んだこのホテルのフロントに、
まるで、全日空を止める裏ルートでも持ってるのかと想像させるほどの余裕だった。
呼んでもらったタクシーは、フロントの知り合いで、素敵な好青年。
ストレートに申しますと、イケメン。
とは思いましたが、見つめている余裕はありません。
ここで、大誤算が再び。
金曜日が故、大渋滞とのこと。全く動きません。
イケメンは、できる限り頑張ってくれました。すり抜けすり抜け、
何とか私たちを飛行機に間に合わせようと、真剣です。
私は、半ば諦め、明日の便で帰るしかないかと、腹を決めかけていました。
その状況の中、自動車電話が鳴りました。
海外インターネットグローバルWiFi
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運は味方した
イケメンが受話器を取り、すぐに私に手渡してくれました。
フロントからでした。
「飛行機トラブルで、出発、深夜になるみたい。」
何と、此の強運よ。
大喜びで、すぐイケメンに、言いました。
「出発送れるみたいで、もう急がなくていいみたいです。ありがとう。」
再び、唖然。
彼は、英語がわからなかった。私は、フランス語が分からない。
いろんな方法で伝えようとした。
”そもそも、何で、電話切らんと、そのまま、イケメンに渡さんかったんや私。”
ついに、伝えることを諦めました。
最後まで、寄り添ってくれたイケメン
諦めるということは、彼がひとり、私たちのために、苦心してくれるという事。
彼の好意を後部座席から見つめるだけの時間が過ぎ、とうとう空港に到着。
「ちょっと待ってて、僕がきいてくるから。」
多分、こう言った。
急いで、空港内に走っていく。
どこまで良い人なん?
答えを知ってる私は、良心が痛んだ。
戻ってきたイケメンは、
「大丈夫だよ、飛行機の出発おくれたみたい。」
彼は、最後まで親身になってくれ、間に合ったことに、
心から安堵してくれていることが、伝わった。
車から荷物を降ろしてくれたとき、料金とチップを渡しました。
もう帰国するので、フランス通貨であるフランは必要がなくなる。
残っていたフランを、チップとしてすべて渡しました。
そんなに高額ではないのですが、彼は驚いていました。
何十年たっても思い出す素敵な思い出。
彼の誠意は、チップの金額以上のものでした。
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