孤高の人:新田次郎著

あらすじ

単独登山で名を馳せていた、加藤文太郎

彼は、三菱重工の技術者だった。

彼のファンだという人から、一緒に

山に行って欲しいと頼まれた。

加藤は断ったが、彼は執拗にやってくる。

やがて、彼の両親までもが頼みに来たのだ。

とうとう、受け入れざるを得なくなった。

山に入った。

悪天候。

加藤は、下山を決断した。

しかし、彼は、拒絶した。

一人でも行くと言った。

彼の親から頼まれたことから、

彼を、危険な悪天候の中、

一人で行かせることはできなかった。

そして、再度、登り始めた。

猛吹雪の中、行かざるを得なかった。

そして、遭難した。

この本を読んで、ある人との関係を終えた。

当時、休暇には、よくバイクで

ソロツーリングに出かけていた。

天気を見て、次の日の行動を決める。

自分の思うままバイクを走らせた。

バイクは、車とは異なり、単なる移動のための手段ではない。

目的地よりも、走りたい道を走る。

自由を感じ、自然と一体となるのがバイク。

ある時、同僚から、女性ライダーを紹介された。

彼女は、バイクでツーリングの経験がなかった。

ツーリングに誘われ数回出かけていた。

有給をとって、信州に行く計画を立てた。

前日、台風のニュースが飛び込んできた。

バイクは危険な乗り物。

電話をした。そして、中止と言おうとする言葉をさえぎり、

“まさか、中止なんて言わないですよね”

“今更、有給キャンセルできないですから”

と畳み掛けられた。

結局、強行せざるを得なくなった。

台風が来ている中、暗い山に入った。

彼女はまだ、バイクに乗り慣れていない。

吹き付ける強い風雨の中、彼女を補助しながらようやく宿に入った。

無事だったことが、不思議なくらいだった。

こんなこともあった。

彼女の後ろを走っていると、バイクが左右に揺れる。

居眠り運転だった。

急ブレーキをかけ、後ろを走っていた私が転倒しそうになることがあった。

彼女は、謝罪するどころか、

“お母さんが、居眠りしてしまったら、注意してもらい

って言うてた“

と、笑った。

自律、自己責任感のない人と、ツーリングに行くのは

危険だった。

これを最後に、二度と一緒にツーリングに行くことはなくなった。

もう一度言うと、

バイクは危険な乗り物。

危ないことほど、参加者全てが個々に自律している必要がある。

依存性の強い人と同行することは最後には命まで

取られかねないということである。

この小説は、彼女との関係を切る決断を促した。

私は、一人でツーリーグしたり、海外旅行に出かける。

それがこの上なく楽しい。

しかし、一人であるがゆえ、行動を律している。

乗るのは、基本、太陽が上がっている間だけ。。

それは、ある男性ライダーも同じだと言った。

わたし達の、朝も夜も早い。

例えば、夜の展望台に一人で行くことはない。

それが故、同伴者がいることでの行動の広がりを

期待することもある。

それで、彼女の誘いを受けた。

加藤と自分が重なった。

技術者というところも同じだった。

当時の自分には、とても共感できる一冊だった。

そして、この本を思い出すときは、

今も持つ、自分の弱さに気づかされます。

新田次郎の山岳小説の大ファンです。

厳しい自然と向き合いながら、

限界に挑む登山家の話に、とても魅了されます。

スイスのクライデシャイデックに

新田次郎の碑があります。

”アルプスを愛した作家”と。

実は、史実は多少異なり、

加藤は実在の人物ではあるが、

最後に加藤と共に登った登山家というのは、

数年来のパートナーであった登山家であったようです。

見ず知らずの素人ではなかったよう。

実際の加藤氏は、人に振り回されるような

弱い人ではなかったってさ。

ちょっと、残念。

がんばれ、私。

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