Essay

誰かが好きな人を奪う女性inNY

誰かが好きな人を奪う女性 に続き、NY編です。

前回の相手は、まんまと結婚まで寄り切られてしまいました。hahaha
しかし、最後には、私の怒りは、彼女よりも不誠実な優柔不断男にむいていきました。

inNY、どこに行ってもいます、こういう人。因みに日本女性です。

ニューヨークで通っていた英会話学校でのことです。
個人レッスンの先生ポールは、初見では、軽いお調子者の少年でした。
しかし、話すにつれ、彼の深い洞察力に気づき、私の言葉の真意を見抜いてくれている安心感に包まれるようになりました。
やがて、長年、心の奥底に沈殿していたトラウマが、彼によって、溶解し始めたのです。
彼の外見も変わりました。ひげを蓄え、似合う髪型になり、少年から青年になりました。
綺麗なブルーグリーンの瞳と綺麗な高い鼻が際立つようになりました。
しかし、身長は低いまま。当たり前ですが。

そして、ある時、彼も自分の幼少のころからのトラウマを話し出したのです。
彼は、恵まれた、幸せな家庭に育った人だと思っていました。
彼の孤独が容易に想像できました。
彼は、哲学や政治に深い造詣を持っていましたが、彼の洞察力は、学問からくるものより
深いものであると思っていました。
それが、これだったようです。

彼は、私にとって特別な人であり、それは、恋愛感情以上のものでした。
それを、彼に伝えました。
彼は、特別な人というところで、頷いたのですが、後半では、そうは思わないと
否定していました。

いつも、深い話をしているわけではなく、寧ろ、人前では軽い会話をしていました。
ある時、ロビーで、英語の課題の答え合わせで、ふざけながら言い合いをしていました。
それを見ていたのが、さやでした。
彼女は、随分前から生徒で、ポールの授業も私より前から受けていました。
しかし、私たちの会話を見て火が付いたようでした。
ロビーに二人でいる時に、ポールが職員用のお菓子を持ってきてくれた時に気づきました。
私に、差し出してくれたクッキーを受け取ると、隣にいたさやにも差し向けました。
そのあと、さやが、”もっとほしー”と、甘えた声で囁いたのです。
彼の耳には聞こえませんでしたが、やられたか?と。

そのあと、予想通り、彼女のモーションが始まりました。
それまで、めったに会うことがなかった彼女でしたが
毎日、学校が終われば、すぐに、スクールに行き、ポールの仕事が終わるまで
そこで勉強していました。
恐らく、帰りも一緒です。
彼女は、まだ、20代半ばで、スリム、髪はロングの金髪、瞳は大きくブルー。
恐らく、カツラとカラーコンタクト。
いつしか、彼女の周りには、生徒、先生問わず、男性陣がまとわりつくようになっていました。
あまりもてた経験がないであろうポールにとって、自分がそんな彼女から選ばれた優越感が
ないわけはありません。
ある時、クラスが終わり、廊下に出るとさやがいました。
彼を見ると、耳まで真っ赤にして、私には、”じゃあね”と言って捨て置き、
彼女に向かっていきました。
ちょっとの嫉妬と、諦めの気持ちで彼の背中を見送っていました。
やがて、彼の持ち物も変わっていきました。
新しいPCにスマートフォン。スマホの色は、彼女のものと同じ機種であり色でした。
まあ完全に、のめり込んどりました。
自然なことです。
私は、いつも二人を冷静に見ていたわけではありません。
そうでいようと、努力はしていましたが。
彼女にあまり好意を持っていませんでした。
彼女の友人がいたのですが、彼女は、素敵な女性で彼女になら別の感情になっていたでしょう。


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彼女の帰国が近づくと、何と彼女は、滞在期間を延長したのです。
私より二か月長く滞在することになりました。
私の帰国が一か月を切ったある日。
ポールのクラスが終わると、いつものようにさやが、ロビーにいました。
私は、意地悪にも、二人で帰らせまいと、彼女に話しかけポールの帰りを一緒に待ちました。
大人げないですね。
私が、最後のクラスだったので、10分程度でしたが。
そして、3人ともう一人男性と4人で帰宅することになりました。
エレベーターで、ポールが言いだしました。
「sachiは、クリスマスパーティー来てたっけ?」

「うん?言ったかな?」

私もとぼけましたが、実際には、パーティーの日、準備する彼に、手伝いを装い、ついて回っていたのです。
互いに、残された時間は短くなり、1分がとても大事に思えていたのが互いに伝わっていました。
通じていました。それが、恋愛感情なのかはわかりませんが。

すると、もう一人の男性が
「来とったやん、しゃべったやんか」
と、覚えてくれていて、話に決着がつきました。
それを、彼女は黙って聞いていました。
その男性は別の方に帰っていき、3人は、地下鉄に向かいました。
ホームで、電車を待っている間、ポールが、気を使って話題を振りました。
「sachiは、前まで近所に住んでたんだ。」
と。こんな話して、ええの?さやは、どう思う?
「ポールは、避けてたともうわ、近所に住んでたけど、たった二回しか近所で会うことなかったもん」
気を使ってしまいました。
やがて、ホームに、Dラインの電車が入ってきました。
さやは、挨拶もせず、黙って乗り込み、背を向けたまま、電車とともに去っていきました。
まるで怒っているようでした。なぜ?
二人で沈黙の中電車を待っていましたが、次もDラインでした。
彼も、当然Mラインを待っているのだと思っていました。
「Mラインは本数少ないからいつになるかわからへん。Dに乗って、14stでLに乗り換えた方が
早いと思う。僕は、その先でFに乗り換えるから」
といって、二人でDに乗ったのでした。
そうです。初めから、3人でDに乗ればよかったのです。
恐らく、彼女は、私と二人になることを選んだ、ポールに怒っていたのでした。
いつも、二人はDで帰っていたのだろうから。

残り3日は、毎日、スクールに行きました。
彼女も、沢山のチケットを買ったので、同じ筈でした。

一日目、別の先生のクラスを取っていました。
ポールの予約がはいっていたからです。
先生の迎えを待っていると、ポールとさやが教室から出てきました。
予約していたのは、さやでした。
すると、急に、嫉妬心が湧き上がってきたのです。
ポールが、私に気づきました。
さやが、別の人と話をしている隙に、私に近づいてきましたが
”気軽に話しかけてくるなや”とばかりに、避けまくりました。
そして、逃げ切りました。

次の日は、ポールのクラスでした。
一日前のことは、何事もなかったように、しらを切りました。
そして、彼は、何やら、別の話を始めました。
先生たちから、あんな綺麗な女性を振るなんて、女性に興味がないとしか思えないと
いう内容のことを言われたと遠回しに言い出したのです。
さやのことしか、思い当たりません。
あの日、帰りにさやが告白したのでしょうか。
そういえば、クラスが始まる前、久しぶりに会ったさやの友人、いつも気さくに話をしていた彼女に、初めて、無視されたのです。
それと、さやが、あの日以来、スクールで見かけなかくなったのです。
恐らく、ポールはさやを振ったのでしょう。

ポールは、一度は、さやにのぼせ上ったものの、我に返ったようでした。
もしかしたら、私が、前に、恋愛感情以上のものと言ったことで、
家族のような情だと思っていたのかもしれません。
そして、私の嫉妬で、再び、恋愛感情が含まれることを確信したという事でしょうか。
私も、其所、曖昧でした。いつも、かもしれません。
その曖昧さが、彼女のような横やりが入る原因かもしれません。
その後、帰国し、多方面で精神的にバランスを崩した状態が続きました。
最後に彼が、NYに戻ってくるなと言ったことも、その原因の一つとなりました。
その言葉の理由は、頑として言いませんでした。

その後、彼は、来日しました。
自分が行くから、NYに戻るなという事だったようです。
主には、ビジネスに挑戦したかったようですが。
日本と言えども、距離が離れており、彼なりの思惑もあり、すぐに再会できませんでした。
そのうち、歯車が狂いだし、連絡が途絶えてしまいました。

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私は、NYでの彼にとても感謝しています。
彼にも言いましたが、私は、彼と話すためにNYに行ったのだと確信しています。
そして、彼にとって、私は、日本に導いた人となりました。
彼にとって、来日したことで、幸せな人生に導かれることを願っています。

彼との出会いは、これに導かれたものでした。
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彼に出会うことで、深いトラウマの浄化が始まりました。
実は、ここでも、様々なシンクロニシティーがありました。
多くの人たちが抱えるトラウマの浄化は、人生の一大イベントなのかもしれません。

私は、ポールと出会うまで、こんなに深く人と心が通じたことはありませんでした。
それは、恋愛感情を超えたものです。
潜在意識の奥深くに眠っていたトラウマが、一気に流れ出たのです。
これは、ポールという人によることは、大きいですが、英会話ということが大きく
起因していたように思っています。先生と生徒という関係もそうですし、英語という道具を介した
会話は、日本語では恥ずかしいことが、話せてしまうのです。
大抵の生徒は、英語を習いに来るのですが、時に、深い話ができる先生がいれば、自分の気づきに
導かれるかもしれません。

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