ニューヨークは秋

このタイトルはいくつかの意味を含んでいる。

アートの秋

美術館は、四季を通じて活況。ギャラリーまで含めると、無限の絵画を楽しむことができるニューヨーク。大美術館も、それぞれに個性がある。
リンカーンセンターでは、夏には開催されなかった、クラシックコンサートやオペラ、バレイが頻繁に開催されている。まさに、芸術の秋。
詳細は、ニューヨーク+αまで

ニューヨークは秋

タイトルと同じ。これは何を意味するか?
ニューヨークの夏はお祭り騒ぎ。
独立記念日では、川沿いの方々から花火が打ち上げられる。ブルックリン大橋を渡る道路は、歩行者天国となり、そこに陣取り、花火仕掛け間近で花火を見たり、各々のアパートの屋上から花火を見たり。また、マンハッタンの沿道では何かあればパレードが始まる。公園は、シアターになったり、コンサートホールになったり、全て無料で自由に参加できる。

しかし、そんなニューヨークにいて、ふと、とても物悲しく感じることがあった。ニューヨークの影を感じた。それ故、ニューヨークに季節でいうところの秋のイメージを持っている。だから、私にとって、”ニューヨークは秋”なのだ。

ニューヨーカーは、らしさを演技してる?

リンカーンセンターで、オペラを観た人たちを感じると、美しいドレスに身を包んではいるものの、心底感動し、心が満たされてるようには見えなかった。
オフブロードウェイの大人気のコメディーを見に行った時だった。大盛り上がりで大笑いしている観客たち。しかし、舞台端にあるスクリーンには、拍手だとか、笑うという意味の指示が写しだされている。観客も共に舞台を盛り上げろという事だった。お笑い好きの私なのだが、全く面白くない舞台だった。なぜ、あんなに笑えるのか不思議なくらい。

同調圧力は日本だけじゃない?

日本は、同調圧力が強いといわれるが、ニューヨークも同じようなものではないか。
周りと一緒に盛り上がらないといけないのではないか。エリートは、クラシックやオペラを理解し、感動する感性を持たないといけないと思っているのではないか。

エリートはクラシックが好きじゃないといけないの?

英会話学校の先生でコーネル大学を卒業した人がいた。コーネルと言えばノーベル賞を輩出している一流大学。彼は、クラシックが好きだという。しかし、“タングルウッド音楽祭”を知らなかった。夏になると、マサチューセッツ州の郊外で行われる世界的音楽祭。ニューヨークからでも車があり一泊する時間的余裕があれば、行くことができる。世界的に有名な音楽家が集まってくる。私も、行きたかった。バスを探したが、車でしか行けないようだったので、断念した。それほど、クラシック好きには魅力的な音楽祭なのにだ。エリートは、クラシックを好まないといけないの?

自分の感覚で決めつける訳にはいかないが、ニューヨークの人々は、”こうあるべき”を無理に作り、エリートの型を演じ、明るく陽気な人々を演じているように見えた。

恵まれていても満たされない主人公
アメリカ映画「Into the wild」を思い出した。裕福な家庭に育ち、成績もよく将来を期待された主人公。しかし、心の満たされない家庭であったことから、全てを捨て、一人アラスカに旅に出た。そして、そこで見つけた答え。
「幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ」ということに気づき、そこを去ろうとしていた時に、野草の毒に侵されなくなってしまった。これは、ノンフィクション。合理的、物質的なアメリカにあって、恵まれた環境や才能を持ちながら、相容れない満たされない若者が存在することに共感を覚えたのを思い出した。これを、今も生きるニューヨークの人の中にかすかに感じたのかもしれない。

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滞在の前にニューヨークに旅したことがあったが、その時、出会ったジャズバンドのメンバーの一人にも同じものを感じていた。その旅の話はここに書いている。彼も、いわゆる学歴エリート。しかし、何かとてもさみしそうな、目をしていたのだった。

一方で、こんな人たちもいる。秋に、ダンス週間というのがあった。そこには、一律1000だか2000円のチケットをもって、着飾った人もジャンパー姿の人も入交り、モダンダンスを観劇した。私は、特に、このモダンダンスが好きだというのもあるが、誰もが肩肘張らず楽しんでいたように感じた。勿論、舞台は素晴らしかった。

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ニューヨーク滞在で出会った青年

この人もまた、英会話の先生だった。彼の初対面での印象は、”ざ、にゅーよーかー”。陽気で、お調子者だった。
しかし、何か月も通う内に、彼の内面の葛藤を話すようになっていた。彼も、強いられて自分を取り繕っていたのだろうか。
彼は、日本の哲学書を翻訳しているものはすべて読んだといった。更に、中国の儒教や道教に造詣が深く、その時すすめられたのが、「菜根譚」だった。

本田宗一郎のファンとしては、宗一郎も好んで読んでいたこの教えを知らないわけはない。しかし、ニューヨーカーの口からでるとは。。と思いきや、
アメリカでは、英語版”プーさんの菜根譚”なるものが、人気でよく売れているんだと、話していた。

菜根譚がアメリカで人気

「菜根譚」は中国は明の時代の末期に、洪自誠が書いたもの。
激しい政争が起こり、混乱した時代。多くの人が、「儒教」「道教」「禅」に救いを求めた、そんな世相を反映させた処世のための哲学書。

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ニューヨークに感じた物悲しさや影は、やはり存在していたのではないだろうか。同じ人間なのだから当たり前なのかもしれないが。
ニューヨークを含めたアメリカの人々へのイメージは、まさに、理由なき自信を持った人々だった。森岡毅氏も語っている。日本人は、自信がない人が多い。しかし、欧米人は、その自信が、行動し続ける原動力になっているのだと。そう思っていた。自信があって、明確に自己主張し、強い人々。しかし、彼らもまた、常に前を向いて歩き続けることができる訳ではなく、いつも自信があるわけではなく、プーさんの菜根譚の言葉にすがる時もあるのだということに、別の側面をみたのだった。

私が、手元に置いているプーさんの菜根譚。ちょっと、諦めそうになったり、辛くなった時、ちょっと、ページをめくると、プーさんが語りかけてくれる。

”自分に厳しくすることは、何かをやり遂げるためには、大事。でも、厳しいばかりじゃうまくいかない。暖かい春風が、全てをはぐくむんだよ。”

”失敗したあとで、成功のきっかけをつかむことだってある。どんなにうまくいかない時でも、投げ出さないでやってみよう。”

”まず、頑張り続けてみよう。長い時間をかければ、縄でも木がきれる          し、水滴でも石に穴をあけられる。そして、時が来るのを粘り強く待とう。水が流れれば溝ができるし、実は熟せば落ちるから。”

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